マネキネコ(ゲームレビュー)
同人フリーゲームのレビューをしております。 たまに、アニメなどの話題も。
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制作:飼育小屋製作委員会
ジャンル:スタッカートシナリオ・ミステリ
人里離れた山奥に、不協和音が鳴り響く。
全身二十七箇所にも渡る刺傷を被害者に刻んだ猟奇殺人犯。
その所業の一部始終を目撃した一羽の鴉がいた。
鴉の名前は『ヤタ』。仲間と群れぬ孤高のはぐれ鴉。
―― スタッカート・シナリオについて ――
プレイヤーである“あなた”は8つの選択肢(移動場所)からひとつを
選ぶことができ、そこで起こるエピソードを見ることにより
1日を消費します。
選択できる日は6日間だけで、この間の行動が後の
エンディングに影響を及ぼします。
(ふりーむ! の紹介ページより引用しました)
2008年に配布されたゲームなのですが、何度プレイしても楽しめる、素晴らしい作品ですのでレビューを書こうと思います。
私が感想を書かなくとも、既にいろんな方から高評価を得ているので、レビューは何の参考にもならないと思いますが… 単純に、書きたいので書きます!
山奥で起きた猟奇殺人。一羽の鴉・ヤタ以外に事件の目撃者はいなかった。
ヤタは事件の全貌を探るため、様々な場所を徘徊していきます。
6日間のヤタの行動によって、様々なエンディングに分岐するシステム。
ちなみにゲームの最終目的は事件の真相を暴くことですが、寄り道してそれ以外のことをしても良く、全体的に自由度が高いADVなのも本作の大きな特徴。
犯人を追跡するも良し、病院で一人の少女と交流するも良し、人間を観察しても良しと様々な種類のシナリオで構成された濃密な物語が楽しめました。
「ヤタは自由だ。この世の誰よりも自由だ」
本作のテーマを如実に表しているフレーズだと思います。
気まぐれでかつ、好奇心に満ち溢れたヤタの生き様を追っていくようなシステムがすごく気に入ってます。
本作の主人公は、はぐれ鴉のヤタ。彼は一羽の鴉でありながら、人語を話すことができる程の知能の持ち主でもある、変わった鴉です。
ヤタはただ賢いだけでなく、時には普通の鴉のように本能に従順な行動を取ったり、ちょっと間抜けな一面を見せるユニークなやつでもあります。
思考や語り口は最初から最後まで一貫してハードボイルド調なのに対し、非常に好奇心が旺盛で、常に人間を観察しているときの彼の心理描写は必見。
「人は、どうして何の躊躇いもなく仲間を殺せるのか」といった疑問を持ち思索することもあれば、一人の人間の死体を前に「この肉をどうやって食べようか」と考えるなど、人間の主人公ならば絶対ありえなさそうな、動物ならではの描写が楽しめるのも本作の大きな魅力でしょう。
シリアスそしてハードボイルドなストーリーかと思いきや、ぶっ飛んだギャグエンドも実は複数存在しています。
真面目に事件を捜査しているつもりがとんでもないアレに巻き込まれたり、昔のギャグ漫画みたいな事になってしまったりと実にシュール。
メインエンディング以外の、こういった変ったサブエンディングをコンプリートするのも面白いです。
爽やかな余韻に浸れる真相解明エンドや、侍女と騎士エンドの心温まる感動的な〆ももちろん大好きなのですが、狂気に満ちた#7エンドのようなホラーチックな展開も好きですね。
ヤタの過去が判明するサブイベントも見ごたえアリ。
ミステリーだけでなく、シュールギャグや切なさ、ホラーなどといった要素も楽しめる、一粒で何度もおいしいADV。
興味を持った方は是非プレイしてみてください。難易度は少し高めですが、その分様々な感動を味わえると思います。
プロフィール
気ままに、好きなゲームのレビューを書いております。主にフリーゲーム中心。
女性向け(乙女・BLゲーム)の感想も扱うのでご注意ください。
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